先週から始めている「ジャイアントまりん」13話の作業だが
ことのほか順調でもう半分くらい原稿が完成している。
ΩΩΩ「えっなんですか、じゃあ来週末くらいにはもう拝めるってことですか?」
といきたいところだがそうもいかない。
作業が早くできたのは序盤、背景のいらないシーンが続いたためで、
複数のオブジェクトが並ぶ…いわゆる巨大戦闘のシーンにさしかかると
当たり前のようにブレーキがかかってしまった。
安彦作画を見習った、効果的な省略法を使ってはいるものの
ここはやはり巨大ヒーローネタの宿命とでもいうべき手間。
もう少し我慢してね、と言わせてほしい。
さて、一月も末になったので毎年定例になっている
今年のプリキュア一年の感想会でもやろう。
僕個人の感想としては、スタートゥインクルプリキュアは
プリキュア全シリーズを通して比較すると
残念ながら決して上出来といえない内容だったようにと思う。
第一話はこれまでのプリキュアになかった無重力戦闘シーンを
富野ガンダム経験のある上野ケン作画で見事に表現し
続く二話では名作画マン楯岡錦によるプリキュア史上に残るだろう
キュアミルキィの変身バンク。
そして往年のピンクレディを彷彿とさせるEDなど、
ファンを期待させるものを次々と見せてくれたが、
うま味はそこまでだった。
三話以降はいつも通りの雰囲気になってしまったのはまあいいとして、
その後中盤のあまりに雑な展開(劇場版で主要スタッフが抜けたとはいえ…)、
ラスト周辺における12宮プリンセスによる事態の真相など、
マイナス要素はけっこう著しかった。
中でも気になる部分のうちひとつは主人公ひかるのキャラクター性。
「宇宙と星座がだーい好きな」…というわりには宇宙の知識も披露しないし
星座を絡めた話が出たのはせいぜい1回くらい、どちらかというとUMAの方にご執心。
いい子ではあるものの、ちょっと世間ズレした面白さを引き出せたとは言い難い。
生徒会長選がおそらくもっとも彼女の面白さを出せた回だが、
ああいった回がもう少しあれば…。
最終回で宇宙飛行士になりました、というのは感動的だったけど
これも本編で匂わせてくれていたらなあ。
キャラ味の引き出せてなさは作品全般にも言えることで、
その大きな要因になってしまったのは
宇宙と地球を行ったり来たりしていたところにある。
プリキュアはファンタジーだから別に宇宙の様相がファンタジックでもいいけれど、
その双方を描きながらドラマも進めるにはあまりに煩雑でキャラも多すぎた。
過去作「魔法使いプリキュア」も二つの世界を行き来する似た構成だったが、
あれは両世界を表現するのが大変だと逆算できていたがゆえに
二人主人公体制だったのだ。
それでも後半ははーちゃん主体で
みらいとリコが若干空気になってしまったが…。
それを五人主役体制でやっていたんだから、
そうとう構成をうまくやらないと難しいのは間違いない。
夏の劇場版は傑作だったらしいが、それで本編が犠牲になってしまったかなあ…。
劇場版によって本編が苦しくなるのは毎年のことだが
今年は特にひどく、中盤は頭の痛い脚本が続いた。
コスモが巨大な敵に捕まった時など
他キュア「コスモが捕まって攻撃できない!」
コスモ「敵の体を攻撃して!」
他キュア「そうか!」
そうかじゃねえよww 敵がドでかいんだからどう見たってそうすればいいだろう。
ツイッター実況でこの頭の悪さに突っ込んだ人も多かった。
またエレナ先輩が5人では随一の優等生だったため、
欠点が少なくネタにしづらかったのか
彼女単独回が中盤一切なかったのもさみしい。
敵幹部と各プリキュアの関係性も、
秋になって主要スタッフが劇場版から戻ってきてから慌てて構築したように見えた。
とはいえあまりこうした部分を責め立てるのも酷な面は確かにある。
プリキュアは企画が始まった時点で商品計画も立てないといけないので、
おそらく今回も変身アイテムやそれにまつわる12宮プリンセスの存在も
冒頭で決まっていたはずである。
それに当てはめて話を作っていくうちに、
どうしてもかみ合わない所が出てくることもあるだろう。
商品展開で投入された12宮プリンセスをもてあました結果が、
彼女たちの罪深さにつながっている可能性はある。
ストーリーや作画面で決して恵まれたプリキュアとは言えない本作だったが、
もちろんいい部分も結構あった。
セレーネ以外は全員が腋の見える大胆なコスチュームデザイン。
無能、淫獣などとさげすまれてきた妖精像を覆すプルンスの縦横な活躍ぶり。
それぞれまったく攻撃方法が異なる敵幹部たち。
そして前半、後半どちらも見ていて楽しいEDダンス。
(いつも前半か後半どっちか微妙にハズしてる雰囲気だったので)
見た目のセンスが光るプリキュアだったと言えるかもしれない。
最終回、ご都合主義的に思えた前半は夢で、
成長したひかるがララたちと再開できたかもしれないラストシーンは
我々の涙を誘ううまい構成だった。
これまでにない宇宙を取り扱う意欲的なシリーズだったものの
スケールにスタッフがついていけなかったとでも言うべきか。
東映がいくら日本最大のアニメスタジオとはいえ、
年二回の劇場版と並行しながら製作するのは
やはりキツくないですかねえ。
もちっとテレビシリーズに力を入れてほしいんだけど。
今年のヒーリングっどプリキュアはどういうプリキュアになるのかなあ。
~今週の映画~
今週はここ数年ハリウッドでよくネタにされている
ピエロ殺人鬼映画の一本「クラウン」の感想。
あらすじ
不動産営業マンのケントは、愛息の誕生日にピエロを雇って楽しませようと計画していた。
ところがそのピエロが急な都合で来れなくなってしまう。
頭を悩ませるケントの目にたまたま飛び込んで来たのは、
扱っている空き家の奥にあったチェスト(木箱)。
その中には古びたピエロの衣装一式が収納されていた。
これ幸いとその衣装を身にまとったケントは
見事息子の誕生日をにぎわせることに成功するが、
疲れてまどろんだ末、翌朝目が覚めるとどうやってもこの衣装を脱ぐことができない。
服に電動ノコギリを立てればノコギリが折れ、
鼻飾りをもぎとれば肉の一部までもっていかれてしまう。
得体のしれない状況におののきつつ、
チェストのあった家のことを調べ始めたケントは
やがておぞましい真実へとたどりつく…。
この手の業界には、時々プチブームみたいなのが起こり、
最近だと人民寺院事件をネタにしたカルト集団ホラーが
何本か同じ時期に生産されたりしている。
こういった流れが大ブームへと発展したのが70~80年代の覆面殺人鬼とか
ゾンビとか、最近のサメ映画とかにあたる。
本作もいわばピエロ殺人鬼のプチブームに製作された一本で
同様の作品には「道化死てるぜ」とか「テリファー」がある。
もしかすると近作の「IT~それを見たら終わり~」もその流れだったのかもしれない。
さて、本作はもともと映画のフェイク予告編として作られたものだったが
これが名匠イーライ・ロスの目に留まり、
彼のプロデュースで本当に作られることになった
という経緯がある。↓がその予告編である。
本作を視聴してみて驚かされたのはそのスピーディさだ。
普通なら前振りがあって、
実際にピエロになるまで30分くらいかかっちゃうもんだが、
本作は冒頭で即ピエロになっちゃって、
原因を知る人間にたどりつき、呪いを解く方法として殺されかかるまで
なんと25分くらいで到達する!
速い!なんというテンポの良さ!
その後も子供を食べたくなるというピエロの呪いに取り憑かれたケントが
どうにか人を避けようとしたり、自殺を図ったりするのだが、
何しろ見た目がピエロだから子供の方から寄ってきちゃう。
「やめろ、俺に近寄らないでくれ…」といった具合に
子供から離れたいのに子供から寄ってくる状況に懊悩する様は
あまり見ない殺人鬼映画といった体でなかなか惹きつけられる。
あとこのピエロ、血の色が七色だったしてピエロらしいユニークさと不気味さを
うまい具合に同居させているのもgood。
……しかしこの面白さも視点がケントから女房のメグへバトンタッチしたとたん
普通のモンスターホラー映画にありがちな展開に陥ってしまったのは
なんともはやもったいない。
おまけにストーリーまでもたつき始めちゃう始末。
最後までケント視点で「人を避けたいのに人が寄ってくる」
って構図に苦しんでた方が面白かったんじゃないかなあ。
それとは別に他にも良点を挙げるとするなら、
昨今ホラー映画でも子供を犠牲にするのはどうか
みたいな風潮があるなか、子供でも容赦なくぐっちゃんぐっちゃんに
殺しまくる展開は非常によろしい。
こんなもん見なくたって子供を襲う奴は襲うし襲わない奴は襲わないのだ。
プロデューサーのイーライ・ロスもフィクションとしての
こうした根本を理解して通したのだろう。さすがだ偉い。
実を言うと「ネトフリにあるテリファーが相当怖い」と
youtubeでも紹介されていたのだが、僕が契約を始めたころにはもう無かったので
この映画を選んだ経緯がある。すまんかったロス。
ことのほか順調でもう半分くらい原稿が完成している。
ΩΩΩ「えっなんですか、じゃあ来週末くらいにはもう拝めるってことですか?」
といきたいところだがそうもいかない。
作業が早くできたのは序盤、背景のいらないシーンが続いたためで、
複数のオブジェクトが並ぶ…いわゆる巨大戦闘のシーンにさしかかると
当たり前のようにブレーキがかかってしまった。
安彦作画を見習った、効果的な省略法を使ってはいるものの
ここはやはり巨大ヒーローネタの宿命とでもいうべき手間。
もう少し我慢してね、と言わせてほしい。
さて、一月も末になったので毎年定例になっている
今年のプリキュア一年の感想会でもやろう。
僕個人の感想としては、スタートゥインクルプリキュアは
プリキュア全シリーズを通して比較すると
残念ながら決して上出来といえない内容だったようにと思う。
第一話はこれまでのプリキュアになかった無重力戦闘シーンを
富野ガンダム経験のある上野ケン作画で見事に表現し
続く二話では名作画マン楯岡錦によるプリキュア史上に残るだろう
キュアミルキィの変身バンク。
そして往年のピンクレディを彷彿とさせるEDなど、
ファンを期待させるものを次々と見せてくれたが、
うま味はそこまでだった。
三話以降はいつも通りの雰囲気になってしまったのはまあいいとして、
その後中盤のあまりに雑な展開(劇場版で主要スタッフが抜けたとはいえ…)、
ラスト周辺における12宮プリンセスによる事態の真相など、
マイナス要素はけっこう著しかった。
中でも気になる部分のうちひとつは主人公ひかるのキャラクター性。
「宇宙と星座がだーい好きな」…というわりには宇宙の知識も披露しないし
星座を絡めた話が出たのはせいぜい1回くらい、どちらかというとUMAの方にご執心。
いい子ではあるものの、ちょっと世間ズレした面白さを引き出せたとは言い難い。
生徒会長選がおそらくもっとも彼女の面白さを出せた回だが、
ああいった回がもう少しあれば…。
最終回で宇宙飛行士になりました、というのは感動的だったけど
これも本編で匂わせてくれていたらなあ。
キャラ味の引き出せてなさは作品全般にも言えることで、
その大きな要因になってしまったのは
宇宙と地球を行ったり来たりしていたところにある。
プリキュアはファンタジーだから別に宇宙の様相がファンタジックでもいいけれど、
その双方を描きながらドラマも進めるにはあまりに煩雑でキャラも多すぎた。
過去作「魔法使いプリキュア」も二つの世界を行き来する似た構成だったが、
あれは両世界を表現するのが大変だと逆算できていたがゆえに
二人主人公体制だったのだ。
それでも後半ははーちゃん主体で
みらいとリコが若干空気になってしまったが…。
それを五人主役体制でやっていたんだから、
そうとう構成をうまくやらないと難しいのは間違いない。
夏の劇場版は傑作だったらしいが、それで本編が犠牲になってしまったかなあ…。
劇場版によって本編が苦しくなるのは毎年のことだが
今年は特にひどく、中盤は頭の痛い脚本が続いた。
コスモが巨大な敵に捕まった時など
他キュア「コスモが捕まって攻撃できない!」
コスモ「敵の体を攻撃して!」
他キュア「そうか!」
そうかじゃねえよww 敵がドでかいんだからどう見たってそうすればいいだろう。
ツイッター実況でこの頭の悪さに突っ込んだ人も多かった。
またエレナ先輩が5人では随一の優等生だったため、
欠点が少なくネタにしづらかったのか
彼女単独回が中盤一切なかったのもさみしい。
敵幹部と各プリキュアの関係性も、
秋になって主要スタッフが劇場版から戻ってきてから慌てて構築したように見えた。
とはいえあまりこうした部分を責め立てるのも酷な面は確かにある。
プリキュアは企画が始まった時点で商品計画も立てないといけないので、
おそらく今回も変身アイテムやそれにまつわる12宮プリンセスの存在も
冒頭で決まっていたはずである。
それに当てはめて話を作っていくうちに、
どうしてもかみ合わない所が出てくることもあるだろう。
商品展開で投入された12宮プリンセスをもてあました結果が、
彼女たちの罪深さにつながっている可能性はある。
ストーリーや作画面で決して恵まれたプリキュアとは言えない本作だったが、
もちろんいい部分も結構あった。
セレーネ以外は全員が腋の見える大胆なコスチュームデザイン。
無能、淫獣などとさげすまれてきた妖精像を覆すプルンスの縦横な活躍ぶり。
それぞれまったく攻撃方法が異なる敵幹部たち。
そして前半、後半どちらも見ていて楽しいEDダンス。
(いつも前半か後半どっちか微妙にハズしてる雰囲気だったので)
見た目のセンスが光るプリキュアだったと言えるかもしれない。
最終回、ご都合主義的に思えた前半は夢で、
成長したひかるがララたちと再開できたかもしれないラストシーンは
我々の涙を誘ううまい構成だった。
これまでにない宇宙を取り扱う意欲的なシリーズだったものの
スケールにスタッフがついていけなかったとでも言うべきか。
東映がいくら日本最大のアニメスタジオとはいえ、
年二回の劇場版と並行しながら製作するのは
やはりキツくないですかねえ。
もちっとテレビシリーズに力を入れてほしいんだけど。
今年のヒーリングっどプリキュアはどういうプリキュアになるのかなあ。
~今週の映画~
今週はここ数年ハリウッドでよくネタにされている
ピエロ殺人鬼映画の一本「クラウン」の感想。
あらすじ
不動産営業マンのケントは、愛息の誕生日にピエロを雇って楽しませようと計画していた。
ところがそのピエロが急な都合で来れなくなってしまう。
頭を悩ませるケントの目にたまたま飛び込んで来たのは、
扱っている空き家の奥にあったチェスト(木箱)。
その中には古びたピエロの衣装一式が収納されていた。
これ幸いとその衣装を身にまとったケントは
見事息子の誕生日をにぎわせることに成功するが、
疲れてまどろんだ末、翌朝目が覚めるとどうやってもこの衣装を脱ぐことができない。
服に電動ノコギリを立てればノコギリが折れ、
鼻飾りをもぎとれば肉の一部までもっていかれてしまう。
得体のしれない状況におののきつつ、
チェストのあった家のことを調べ始めたケントは
やがておぞましい真実へとたどりつく…。
この手の業界には、時々プチブームみたいなのが起こり、
最近だと人民寺院事件をネタにしたカルト集団ホラーが
何本か同じ時期に生産されたりしている。
こういった流れが大ブームへと発展したのが70~80年代の覆面殺人鬼とか
ゾンビとか、最近のサメ映画とかにあたる。
本作もいわばピエロ殺人鬼のプチブームに製作された一本で
同様の作品には「道化死てるぜ」とか「テリファー」がある。
もしかすると近作の「IT~それを見たら終わり~」もその流れだったのかもしれない。
さて、本作はもともと映画のフェイク予告編として作られたものだったが
これが名匠イーライ・ロスの目に留まり、
彼のプロデュースで本当に作られることになった
という経緯がある。↓がその予告編である。
本作を視聴してみて驚かされたのはそのスピーディさだ。
普通なら前振りがあって、
実際にピエロになるまで30分くらいかかっちゃうもんだが、
本作は冒頭で即ピエロになっちゃって、
原因を知る人間にたどりつき、呪いを解く方法として殺されかかるまで
なんと25分くらいで到達する!
速い!なんというテンポの良さ!
その後も子供を食べたくなるというピエロの呪いに取り憑かれたケントが
どうにか人を避けようとしたり、自殺を図ったりするのだが、
何しろ見た目がピエロだから子供の方から寄ってきちゃう。
「やめろ、俺に近寄らないでくれ…」といった具合に
子供から離れたいのに子供から寄ってくる状況に懊悩する様は
あまり見ない殺人鬼映画といった体でなかなか惹きつけられる。
あとこのピエロ、血の色が七色だったしてピエロらしいユニークさと不気味さを
うまい具合に同居させているのもgood。
……しかしこの面白さも視点がケントから女房のメグへバトンタッチしたとたん
普通のモンスターホラー映画にありがちな展開に陥ってしまったのは
なんともはやもったいない。
おまけにストーリーまでもたつき始めちゃう始末。
最後までケント視点で「人を避けたいのに人が寄ってくる」
って構図に苦しんでた方が面白かったんじゃないかなあ。
それとは別に他にも良点を挙げるとするなら、
昨今ホラー映画でも子供を犠牲にするのはどうか
みたいな風潮があるなか、子供でも容赦なくぐっちゃんぐっちゃんに
殺しまくる展開は非常によろしい。
こんなもん見なくたって子供を襲う奴は襲うし襲わない奴は襲わないのだ。
プロデューサーのイーライ・ロスもフィクションとしての
こうした根本を理解して通したのだろう。さすがだ偉い。
実を言うと「ネトフリにあるテリファーが相当怖い」と
youtubeでも紹介されていたのだが、僕が契約を始めたころにはもう無かったので
この映画を選んだ経緯がある。すまんかったロス。