血煙銭湯

毎週日曜日更新

2018年08月

八月もいよいよ最終週に入ったねえ。
天候が崩れがちながらも残暑が続いているので、
皆さん体調に気を付けてお過ごしください。
で、来たるべき8月29日以降、各電子書籍ストアや有料コミックサイトで
デッドマキシマム8巻の配信が始まるのです(えみる)
この配信に合わせて、残る二話のうち17話を公開しようと計画しているので、
愛読している方々はお待ちくだされ。
電子書籍宣伝11_011

最終話になる18話は出来上がりしだい公開する予定。
そのあとに新作「ジャイアントまりん」も続けて製作するので、
9月10月はなかなか忙しいことになりそう。

そのまりんをモチーフにしたイラストを今週pixivユーザー企画
「バニーガール祭り2018」の方にUP。
まりんバニーガール_0000

企画者のまりそんさんは、pixivロボット大戦というユーザー企画をきっかけに知り合った方で、
多分ぼくと同世代だと思うんだけど、仲良くしてもらっている。
(僕の絵作業が忙しいんで、最近あんまりコンタクトできてないけど)
この手の交流企画にはできればもっと参加したいのが本音。
金田伊功追悼祭りとかも確か毎年やってるはずなんだけど、
これが目につかないのは僕に余裕がない証だろう。
このまりんは、前回も言ったように「アクマま」のヒロインの流用だが、
さらにさかのぼれば原点は僕が初めてきちんと描き上げた漫画
それも無謀にもフルカラーの「宇宙剣豪」のミコガミ・テンがそれ。
これが玉丹忍法帖のヒロインになりーの、アクマまになりーの
そして次回作「ジャイアントまりん」へとコロコロ転用されている。
彼女自身のボケにもツッコミにもなり得る柔軟さはいいのだが、
ようは相方の方向性がうまく合致せず、いい具合に話が転がらなかったのが
こうした変遷の理由である。
この絵ではお腹のふくらみ具合の表現にこだわって、かなり試行錯誤した。
ぼくはよく筋肉質な女性を描くけど、まりんは戦士であってもそういうタイプじゃなく
ぽよんぽよんした肢体の持ち主なので、どうにかしてこの柔らかさを表現したかった。
出来上がった絵を今一度見直してみても、おなかの適度なふくらみ具合はうまくできたと思う。
こうしたバニー姿より実際の戦闘コスチュームの方がエロいのは、
まあ僕の作品ではいつものことだ。
これには差分がないが、支援サイトではpixivで公開したものより高い解像度で置いてある。
この辺の融通が利くのが、支援サイトのいいところだ。

サムス_0000

さて、友人への好意を示すのもいいが、いつも通りにえっちな絵も描かねばなるまい。
これはほとんどの時間、モノクロ漫画を描いている僕がカラー原稿の感覚を鈍らせない
意味合いだってあるのだ。
しかし何を描くべきかが一向に決まらないまま時が過ぎ、
なんとなくサムスを描こうと決めたのが当日のことだった。
ところがそんな時になってPCがうんうんうなって重くなり、進むも戻るもままならない。
先日のアップデートからたまに起きていた症状だが、こんな時間がない時に出るとは…。
とりあえずなんとか再起動して、メモリを食っていそうなアプリやサービスを停止した。
それ以降、この症状は起きていないが、またいつ起こるかもと考えると不安である。
それはともかくサムスを描く段になって、じゃあどんなポーズにしようかというのは
意外と簡単に決まった。
股間の間から銃を構える。それだけでエッチに見えるというのは
ぴっちりスーツを着た戦士であるサムスならではの特性で、
他に同じ手が通用するのは草薙素子かユリ・ケイくらいだ。
体勢的に、両手で銃を構えていないとおかしいのだが、そうすると股間が隠れてしまう。
見せたい部分を見せるためには、あえておかしいポーズを選ばなければいけない時がある。
最初の構想ではすっぽんぽんの差分を構想していたのだが、
PCの復帰に手間がかかったので、そんな余裕はなくなってしまい、
あえなく差分は股間部分のコスチューム裂けにとどまってしまった。
うーむ…。

ピーチ姫_0000

時間的猶予があと一日くらいしかなかったので、じゃあもう一人は誰にしようかと考えれば
同じ任天堂から引っ張ってくるのが流れというもの。
今まで描いたことのないピーチ姫にチャレンジすることにした。
しかしドレスだと露出や差分を作るのが大変なので、都合のいいマリオテニスのコスチュームで。
もっと尻をドーンと目前に近づけるべきかとも思ったが、
前にも似たような構図があったし、やっぱりなんらかの形でおっぱいも見えていたい
それは男心というもの。
今見直すと、もっとレーシーなすけべぱんつでもよかったかなと思うのだが、
前がともかく、後ろがレースになって透けているぱんつというのも変な気もする。
テニスだからアンダースコートォ? そんなものは僕の世界にはない。
えっちな部分とは全然関係ないが、スカートのしわの質感はなかなかよく出てると思う。

明日からは「デッドマキシマム」最終話の原稿にとりかかる予定。
何ページになるかはちょっと予想できない(いちおう40ページ以内を考えている)が、
内容は先月から決めてあるので、ネームにそう手間はかからないはずである。
問題は群がる敵に、自動車、ビル群、そして銃という実際の作画作業だあね。
想像するとちょっと頭が痛い。

~今週の映画~
今回は「ケース39」の感想

先週があまりにもハズれていたので、今週は安パイっぽいのを選択。
ツイッターでフォローしている映画紹介botが勧めていた一本だったので、これはいけるだろうと。

児童保護局の優秀な職員であるエミリーは、
その有能さゆえにすでに38もの案件を掛け持ちしていた。
そこへ上司が「これもやってくれ」と置いていった39件目の書類。
ケース39である。
授業中によく居眠りをする、また不安を訴えているという少女リリー。
それはありふれた児童虐待のように見えた。
リリーの自宅を訪れたエミリーは、憔悴したような表情で自分をうかがう両親と
おびえたまなざしを向けるリリーの姿に、深刻な事態が迫っていると察するが、
具体的な証言も証拠もないため保護に踏み切ることができない。
ある夜、就寝するエミリーに電話が入り、リリーが「両親に殺される!」と訴えて来た。
切迫した事態に友人の刑事マイクとともに彼女の家へ駆けつけたエミリーは、
リリーをオーブンで焼き殺そうとする両親を目撃する。
マイクによって両親は逮捕、リリーは孤児院へ入れられるが、
救けを求めるリリーをエミリーは放っておけなくなり、
里親が見つかるまでの間、自らが面倒を見ると名乗り出る。
同じように家庭に問題を抱える子供たちとカウンセリングを受けるリリー。
数日後、そのうち一人の少年が突然両親を惨殺するという事件が起きる。
その少年が犯行直前に受けた電話は、エミリーの家からかけられたものだった…。

だいたい見当がつくと思うが、元凶はリリーである。
いわゆる「子供ならぬ子供」による得体のしれない恐怖を描いた作品だ。
この手のホラー映画には名高い「エスター」もあるが、
あっちはあくまで現実的な恐怖に終始するのに対し、
こちらは本当に得体が知れない、というのが特徴。
何らかの怪物を扱うホラーにとって、得体が知れないというのは本当に重要な要素で、
得体が知れてしまったらそれはもう恐怖ではなくなってしまう。
エイリアンだって、最初は何だかよく分からない相手が
闇やスモークの中に潜んでいるのが怖かったのであって、
正体がわかってしまったら、あとはもう数と言う暴力の恐怖に置き換えるしかない。
これはエイリアン2の話だが、キャメロンはそこをよく分かっていた。さすがだ。
本作もリリーの正体はよく分からない。産んだ両親ですら分からず、
ここでダメなホラーなら思わず「悪魔」というレッテルをとりあえずつけてしまうのだが、
最後までそれをやらなかっただけでも、本作は欧米圏ホラーでは称賛に値する。

リリーと戦ううちに、エミリーは徐々に何もかも失ってしまい、
最後にもう何も残っていない状態になって、視聴者も「アカン…これもうダメやん」
と思ったところからもう一波乱あったのは見事な脚本の妙。

がしかし、途中まで見たところで
「…これ見たことあるわ」
と気づいてしまった。
見ていた人間の方がダメである。
でもオチを忘れていたからまあいっかー。
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今日は先週もお伝えしたとおり、次回作の構想とか展開方法などを語ります。

例の浅田隆宏さんのHOOOKは、僕も期待と興味をもって推移を見守っていたんですが、
実際に設立されてその蓋を開けてみると
・所属した作家は5ページの完成原稿とその後の展開やデザインを公表し投資者をつのる。
・その投資金をもとに本が出るまでの生活を支える。
と、おおざっぱ(大雑把だな本当に)に言うとこんな感じで、
なるほどー、それで漫画家の生活を安定させるのかー……。

待って、それ出版社に所属して漫画描くのとだいたい同じでは…。
無論、この投資は出版社が出す原稿料や契約金より多いものなのかもしれない。
でも…。

出版社でも連載をもらうためには最低限一話分のネームやキャラ表は必要で、
それを元に会議をかけて連載を勝ち取る。通らなければそこまでの苦労はご破算だ。
HOOOKでも試作品を公表して投資者を募るのであれば、
投資者が集まらなければ結果は出版社のそれと大して変わりない。
なにより各国投資家からの株式的な投資というスタイルには不安感がある。
キックスターターとは違って、売れ行きでリターンが決まるとあらば、
投資者も内容に意見できる権利が出よう。出ないはずがない。
テレビ番組だってスポンサーが番組に意見言うでしょ。

もちろん出版社でも編集が意見するけど、それはたいてい作品を面白くするためだ。
でも海外を含めた投資となると、その意見には思想やお国柄が現れる。
もちろんどんな漫画を描くにせよ、実在する一般の個人に対する悪口雑言などはご法度だ。
しかし話の展開しだいで、国家や思想、宗教への批判が必要な時というのは往々にある。
例えその批判が正統であったり、今後の作品を盛り上げるためであろうと、
「そういうのはやめてくれ」という投資者が出るかもしれない。
それがその作品にとって有力な投資者だったら?

考えすぎかもしれないし、そういう実在世界の物語にしなければいいのかもしれないが、
そういうタブーを扱っていいのが漫画でもある。
手塚先生の漫画には人間をテンプラにしたり、
和登さんが写楽のチンコを洗って勃起さてしまったり
いろんなタブーがあって
「こんなん描いてええんやで」という手本であるものを、否定されるかもしれんというのは、
僕みたいに宗教批判や性表現を扱う漫画描きにはなかなか怖いことなのだ。
(特に海外は小児性愛に対してクッソうるさいからね…)

浅田さんは当初、漫画界のyoutubeみたいなことをやると宣言していたものが、
出来上がったのは海外投資家の協力を得た国際的電子出版社で、
これは必然的にそうならざるを得なかったのかもしれないのは
設立経緯を見て分かっているのだが「なんだかなァ」というのが僕の感想である。
何が言いたいのかと言うととりあえずHOOOKへの参加は様子見したいということ。

さて今日の本題である次回作について語ろう。
次回作についてはこれまでもどうしたろかな、こうしたろかなとツイッターやここでも呟いて
何度かR18作品などにも言及したが、結局のところこれがまあどれも上手く回らない。
本当に、エロだけで回せと言うのは僕にとって難しい。
それに発表できる場所もあまり広いとは言い難い。
komifloとかの読み放題も、すべてのエロ出版社やエロ漫画家が参加できるわけじゃないかんね。
それもあって、ぐるぐるぐるぐる構想を巡らせているうちに「これだ」
という形を見出せてきて、これがうまく回せそうな感触がある。

次回作のタイトルは
「ジャイアントまりん」です。
もう一度言います。
「ジャイアントまりん」です。
(さあもうこれで後戻りできんぞ)

主役キャラクターはお手に取った方もいるかもしれない拙著同人誌「アクマま」の二人。
あの中では母子だったけど、本作では立場や性格をまったく変えてのご登場。
内容は「巨女×怪獣=特撮的ドタバタコメディ(というか完全にギャグ)」
だもんで、DEUCEやデッドマキシマムにおける僕のバイオレンス描写が苦手、
という人でも入っていける内容になります。
現行のデッドマキシマムを始めた時も「お前のギャグ(の方)が好きだったんだよ」
みたいなことを言ってくれた人が何人かいたので
「えっ、そうなの?」とは思ったけど、
デッドマキシマムも海の物とも山の物ともしれない時期だったし、
何よりマンガワンでギャグやったのにダメだったから、
「やっぱりそうじゃない方を描いた方がいいんだな」と思って描き始めるのが人情というもの。

でも最近、次回作の構想で悩んでると、馴染みのフォロワーたちが何人も意見をくれたりして
君たちゃあ、やっぱりこっち(ギャグ)の方がよかったんか…と改めて考えさせられている。

今の僕の心境としてはアオイホノオで「トンコさんに諭された炎燃」のごとし
「ぼく、アホになります!」
ときたもんなので、峠を越えてすでにちゃんと終わる構想もできている
デッドマキシマムのことで例え後ろ指をさされても、後ろ指が刺さらない心境なのである。
(それは無謀キャプテンだろ!)

デッドマキシマムの残り2話は、いつもは定時期にUPするところを出来上がったら早々にUPし
「ジャイアントまりん」は10月には開始したいと思っている。
発表形式は第一話の冒頭5ページだけまとめて出し、あとは毎日1ページずつ更新。
マンガハック、pixivFANBOX、ニコニコ静画、FANTIAの四か所に掲載する予定。
ツイッターの方にも毎日1ページ上げるかもしれない…。
毎日更新は今までもできたけど、なんでやってこなかったかというと
シリアスものはあとから「ここはやっぱりこうしたい」ということがよくあるのに、
pixivでは差し替えや付け足しするのにプレミアム会員化が必要だったから。
それ以外の機能を全く使わないのに、そのためだけにプレミアムになるの嫌だったのよね…。
FANBOXやFANTIAでの公開は、もちろん最初は無料で見れるようにしておくので、
応援するけど電子書籍版にだけお金を払いたい、という人も安心してほしい。

えーとあと何か言ってないことなかったっけ。
あ、そうそうエッチな要素はあります。エロ漫画のようにはいかないけど、
アングルとかラッキースケベとか、サービスシーンとか気が付く限りは見せていきたい。
もちろんTKB券も発行して、一部アプリでの配信では削除されてしまうそれを
電子書籍版では見れる、という差別化を狙っていく所存である。
キャラデザインは結構進んでるけど、まだちょっと見せられないや。
旧版(アクマま)時代の絵で勘弁してくだちい。
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この二人が主役になるわけだけど、細かいところは新作に合わせて変更してある。

こうした新作発表の前準備として、今までpixiv中心だったフォロワーも
マンガハックの投稿者方面へ増やす試みを始めている。
もちろんかたっぱしからフォローしているのではなく、投稿された漫画を見てフォローしている。
これで互いに宣伝したり情報交換できたらwin-winではないか。
こんな変態おっさんにフォローされたりして迷惑に思ったらそれはすまない。
本当にすまない…。
(そんなこと思う人がこのブログ見てくれるかは定かではないが)

~今週の映画~
今週は「ヘルケバブ~地獄の肉肉パーティー~」の感想

ここのところ、いい映画に当たり続けているので
そろそろダメな映画を見ないと神経が参ってしまう(何の病気だよ)。
そう思って選んだのがこのヘルケバブ。
PSNでのビデオ配信でR18映画(もちろんエロじゃないR18よ)が始まったとき、
鳴り物入りで筆頭並べられたにも拘わらず、☆1つの評価を食らったという
何とも期待できる作品だ。
タイトルもトロマ映画を思わせる雰囲気で、
いかにもチープすぎて笑わせてくれそうではないか。

主人公アルゴは幼少時に両親を亡くし、以後ボスという警官
(名前なのかポストなのか)に育てられやがて自分も警官となる。
ある夜勤のおり、同僚たち四人と食堂でバカ話をしながらくつろいだ帰りに、
本部からの救援要請を受けた彼らは、インチャージ地区へと向かうが、
急に飛び出してきた人物と車両が衝突し、川へ落ちてしまう。
幸運にも大したケガもなく助かった彼らは、現地民たちの案内で現場へたどり着くが、
そこにあったのは不気味な館であった…。

……………タイトルからして名作を期待したわけではまったくないが、
あらゆる期待を裏切るとんでもねえ駄作ホラーだった。
まずもって、ヘルケバブとついているが原題はbaskin(クルド語らしいが意味は分からん)で
ケバブ料理自体頭から尻まで一度たりとも出てこない!
焼き肉は出てくるけど、ただの焼き肉とケバブは違うからなァ!
そのうえ映画の本編とでも言うべき不気味な館にたどりつくのは、
映画が始まって30分も経ってから。
それまでは下品でしかもくだらない会話ばかり続くので眠くなって仕方がない。
途中に出てくるカエルとか、下品な会話にも後半にかぶる部分はあるのだが、
その会話自体がぜんぜん面白くないので間が持たないのだ。
そしてまあ何といっても演出がダラダラしていて、これもまた間が持たない。
何かともったいぶって人物が登場したり、ゴアシーンが始まったりするんだけど、
どれも大したことないので、もったいぶるほどじゃないんだよ!
明らかに脚本の尺が足りてないんじゃないかこれ!

とこんな感じで笑えるツッコミどころではなく、怒りのツッコミどころが満載の映画。
もっとも売りとなるはずのR18たるべきゴアシーンも、
全年齢向けで配信されている「ピラニア3D」方が残虐で
しかもチンコ丸かじりとか笑える上に下品とよくできている。
ホラーとしても、ギャグとしても褒めるべきところが何一つない。
久々に「見た時間を無駄にしたぞぉ!」と手にいやな汗を握る一本であった。
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何度かとりあげさせていただいている、浅田隆宏さんのHOOOKでついに作家募集が始まった。
これ自体は歓迎するべき事案だったのだが、いざその内容を見て検討するにつれ、
危惧していた不安がチラホラ覗いている。
先行投資のシステムで安定した製作費の供給はできるかもしれないけど、
果たしてこれで自由な創作が保障できるのか、まだ始まってないので何とも言えないが
ちと微妙な雰囲気がある。逆にマンガハックとかは自由度高いからさー…。
この辺に関しては来週、次回作の構想なども含めて話すことにしよう。

近況としては先日、BOOTHで僕の同人誌を買っていただいた方が、
BOOST(いわゆる上乗せ支払い)で信じられない額を上乗せしていただき、
まこと恐悦至極にございまする。
まだFANBOXが始まって間もないですが、他の支援者の方々も含め、
この場を借りましてお礼申し上げる次第です。
でも僕はエロ業界にも「お前の漫画はエロ漫画ちゃう」と受け入れてもらえなかった男なので、
そっちをメインにするのは難しいかなあというのが現状なのでございます。

さてそのメインであるところのデッドマキシマムの16話の裏話を今回はしていくのでござる。
本作を閉じると決意した際、もっともそのしわ寄せを受けたのがこの16話である。
デッドマキシマム16_003

なにしろ本来はもう少し時間をかけて説明していくつもりだった伏線や背景を
ほぼこの一話で消化しなければならないからだ。ネームも普段の1.5倍時間がかかった。
本当は中州編のあとで何回か平常回をはさんでフランク邸へ突入する回をもうけ
そこでグリム、キルシュ、ソフィーを交えて話させるつもりだったのだが、
中州編に入っても、こう…いまひとつ人気が昇ってこない。
だから中州ですべての因果を収束し物語を閉じることにしたのだ。

みなまで言うな。良しにつけ悪しきにつけ全ての原因は把握している。
このままでは僕も立ちいかないし、
校正やデザインをしてもらってるマンガハックさんにも申し訳ない。
本宮ひろし先生いわく「ウケてこそマンガ」でなければならないのだ。
──という反省はここまでにして本題に戻ろう。

ジャックの再度の変貌は計画どおりだが、その「飢え」が異様な方向へ走り始めるのは
こうした収束に向けての助走にあたる。詳しいことは最後まで言うことができない。
ソフィーとヴクブの戦いは、互いに高い防御力と腕力がぶつかる泥沼の様相になる予定だったが、
上記したジャックの動きによって中断という形に収めた。
構想では一話分つかって、ソフィーが明山の拳石を利用し、伝説にあるヴクブの弱点を突く
という展開もあったのだが、終了を決意してダラダラすべきではないと涙を飲んだ。

フランクによる「人間原理」を含めた世界観は、我ながらいささか強引だったと思うし、
フォロワーにもツイッターで「無茶過ぎない?」とつぶやかれたような気がするが、
その通りなので反論はない。
ただ、本来このくだりは民俗学的な見地からの解説も絡める予定だった。
インド神話にプルシャという群体神がおり、これが人間の性質によく似ていて、
人間が神であるというオカルト視点からの論理補強もあったのだ。
しかし話数もページもないし、何より解説回でダラダラすると読む方も眠くなってしまう
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ので、ここは反論も言い合いもなく押し進めた。
話相手を頭のいいソフィーだけにしたのは
グリムやキルシュがいると「それってどういうことなん?」という
質問合戦になってなかなか話が進まないという理由もあったのだ。

一方でテンプル騎士団を起点とした唯一神=悪魔という説は、
これはDEUCE時代から温めていた論理で、
これをやるためにデッドマキシマムをやったと言っても過言ではない。
元々、DEUCEの敵としてカニバリズム教団というのを設定した時、
その大ボスとしてアルテミス、アポロン、トール、スサノオを持って来たが、
さらに彼らのヘッドとして「森の王」という起源確かならぬ古い精霊を据えたのがはじまり。
この森の王という精霊のバックボーンがいまいちつかめず、
いろいろ調べているうちに突き当たったのがイスカンダル・ズルカルナインという名前だった。
実際のところ、森の王とズルカルナインに関連性はない。
しかし「二本の角を持つ王」という特徴に、
カナンやメソポタミア、シュメール神話の王との共通性を見出し、
ここから唯一神=二本角=バフォメットというネタが生まれたのである。
実際唯一神がやってることと、悪魔がやってることにあんまり違いはない。
神は「悪魔は騙してくるから気をつけろよ」と言っているが、
ならばその神の正体が悪魔で、人間をだましていないという保証もないのだ。
誰かがこれをネタにする前に、僕がやっておきたい、やっておかねば。
そして今回ようやくこれを世に出すことができて余は満足じゃ。

その後の解説もいささか強引だったかもしれないが、
第二話に登場したソフィーの兄にあたる怪物(寄生悪魔)は、もともと中州編で再登場させ
「あれはいったいなんなんだー」という伏線にするつもりだった。
量子力学の観測行為は人の無意識な認識に基づく、という理論をもとに
「希望よりも恐怖や不安が人間の本能に近いので、善なる超存在は生まれ得ない」
なんて話は「えらい悲観的なことを言う作者だなあ」と思われるかもしれない。
僕もそう思ったけど、でも最近ある本を読んでこの理論もアリだなと。

人は死んだあと、天国と地獄に振り分けられるというのは多くの宗教の世界観だけど、
実はどこの宗教も、地獄はあれだけ濃厚に苦痛と恐怖を描いている反面、
天国に関してはとても描写が薄いのだ。
「待てい、キリスト・ユダヤ教の天国は、何層にもわけられてて詳しい設定があるぞ」
という向きもあろうが、あれはあくまで天使の労働区域の説明であって、
死後の人間の扱いを解説するものじゃあない。

ではなんで天国の内容が薄いのかというと、それはあらゆる苦しみがないから。
暑さ寒さもない、不安もない、恐怖もない、痛みもない、欲望からも解放される。
死なないから子孫も必要ない。性欲すら無くなる。
となれば当たり前だが本も映画も劇もゲームも無いだろう。
それはストレスを与え、不安を生み出す要因でもあるからだ。
まあ神をたたえる音楽くらいはあるかもしれない。
あと神様がいつもそばで見守ってる。やったねたえちゃん!

さて、これは本当に幸せなんだろうか?
これって完全管理のディストピアと何が違う?
全てが満たされているというのは、すべてが失われると道義でもある。
人間は、苦痛からの解放によって幸せを感じられるようにできているのだ。
つまり天国とは「無」という別種の地獄の様相ともいえる。

…たぶん、死後の世界について考えるよう任された人は、この点に気づいてたんじゃないかな。
ダンテの神曲もあれだけ地獄編をダラダラさまよってるのに、
天国に到達したらホヘッと終わってしまうのはそのせいだと思う。

──おっと、これはあくまで僕の所感だ。
人間原理で善なる超存在が生まれない理由の裏付けになるかもしれないが、
僕の考えが強すぎるので、本編の論理にも解説にも加えることはしなかった。
神話宗教を調べすぎるとこうなるので、信仰心のある人は見習ってはいけないよ。

こうした人間原理を絡めた科学理論を立ててしまうと、
序盤で扱っていた幽霊とか魂の存在も崩れてしまうのではとお思いだろうが、
これには天然のエクトプラズムの介在によって成立するという設定があった。
人体そのものがエクトプラズムの材料らしいというのは科学的な調査結果があるのよね。
まあ、これもページ数の都合で省略せざるを得なかった_(:3 」∠)_


さて、フランクと悪魔たちの目的が判明したところで残すは2回。
「最大限の死」とメインタイトルも回収したし、
ややこしい裏設定をこねくりまわすのはこの16話だけなので、
あとはグリムとキルシュの活躍に焦点を絞って終息していく予定。
富野アニメ的な絶望感が匂ってるけど、なんとかするので暗いラストが嫌な人も安心してほしい。

~今週の映画~
今回は「イクスティンクション地球奪還」の感想。

ネットフリックス限定配信映画である。

公開されている予告では、あまりきな臭いシーンがないため、
結局どういう映画なのか判然としないが、宣伝用の一枚絵では
バーンと宇宙人みたいな奴が映っているので、
タイトルにもあるしSF侵略映画なのは間違いない。
あらすじを追おう。

ある工場の保守点検要員として働くピーターは、毎日謎の悪夢に苦しめられていた。
夜空から光る何かが降りてきて、市民たちを大虐殺、自分も逃げまどうという内容だ。
都市計画に携わる妻アリスは、多忙なピーターに娘たちと過ごす時間を割いてと願う一方、
ピーターの精神状態も心配して医者にかかるよううながす。
一度は病院に行くピーターだが、夢が何か大事な事実を教えているような気がして
結局医者に診てもらわずに帰ってきてしまう。そんな夫を責めるアリス。
アリスが隣人たちとのつきあいで開いたホームパーティでも、夢が影響して精細を欠くピーター。
パーティーが終わるのも上の空で、ベランダの望遠鏡から夜空を眺めていると
空から無数の光が降りてきて、住宅街を無差別に攻撃し始めた。
あの夢は正夢だったのか? 
突然降りかかってきた危機に、ピーターは自分が点検している頑丈な工場を思い出し、
そこへ向かって家族を引き連れた逃走劇を開始した。

予告だけでは判然としない内容だったが、結論から言うと「当たり」の映画である。
始まって間もなくしてピーターとその家族には奇妙な違和感がある。
どう見てもインド・アラブ系のピーターと白人のアリスなのに、
娘二人にまったくその血筋の面影がないのだ。
いや、そこはフィクションなのに当然なのでは?
ごもっとも。
しかしアリスが参加する都市計画会議が明らかに現代を凌駕するハイテクだったり、
家族の違和感を含め、終盤にババンと明らかになるどんでん返しの伏線が、
しっかり序盤から貼られているのは巧妙につきる。
このどんでん返しがこの映画最大の肝であり見どころなので、
一言たりとも漏らせないのがもどかしい。

侵略映画ということで、ドンパチがあるのは予想できると思うが、
HGウェルズの「宇宙戦争」のような決着がついたりはしないことだけは、
まあ話してもいいと思う。
これはそういう決着を求める話じゃあないからだ。
「どうなってしまうのだあ…でももしかすると」という雰囲気をにおわせて終わる。
意味深いどんでん返しがすべての肝であるため、これはこれでいいのだ(バカボンパパ)。

しかしまったくもって手放しで褒めるというわけにもいくまい。
宇宙戦争でもそうだったけど、主人公には守るべき家族がいて、
この家族の下の娘がとにかくよけいな行動をするのだ。
「いい加減にせえよお前」と言いたくなるいわゆるピンチ製造機。
でもそれのおかげで話が回っている面もあるので、
こやつめガハハと笑って許すべきなのかもしれん。

ようじょだし。
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久々に「マッドマックス怒りのデスロード」の本編見ちゃったら
ゲームの「マッドマックス」もやりたくなり、
これも久々にニューゲームでやりなおしてみたら、
カメラが魚眼視界で安定性が低く(挙動がふらふらする)
少し3D酔いしてしまった。
僕は3Dにけっこう強い方だと思ってたんだけど、
歳のせいか、ゲームの方が悪いのか。
映画「ハードコアヘンリー」もクライマックスが悪ければ
吐いてたかもしれん…。

さて先々週の末~先週の冒頭にかけて北海道を悩ませた猛暑も
金曜くらいにはだいぶ収まって、昼夜で寒暖の差が出始めている。
夜に冷え込むの、まだ早くないっすかね…。
いつもなら九月くらいまで薄着でも平気だったりするんだが。
しかし猛暑がきつかったせいか、土曜日ごろになってどっと気だるさが押し寄せて
なかなかペンが重かった。
残る2話分となったデッドマキシマムはネームも出来上がって順調だが
「燃えよペン」じゃないけどこういうスケジュールには
だいたい人間の体調は計算されていないので、予定通りに仕上がるかは分からないのである。
まあ何にしろ、一番苦しかった16話が脱稿し、
17、18話で何をどう描くべきかはもう決まっているので
描くものに迷いがないのは楽な限り。
そろそろ、そのすぐあとに描こうと考えている漫画の行方が気になっている人もいようが、
こっちはまだキャラデザインが出そろってない。
一部、エロ同人で出した漫画のキャラの流用になっているが、
その他はすべて刷新、しかも多数に及ぶうえにモンスターやロボットも必要なので、
そっちの方で「ああでもないこうでもない」と手間取っている。
しばらくロボットとかデザインしてなかったからね。

えー…ここのところ海の物とも山の物ともしれぬ自分の漫画の話ばっかりしてるんで
今日はちょっと趣向を変えて最近見てるドラマの話でもしよう。
つってもネトフリ配信のドラマですが。
以前同様に「マインドハンター」のお話をしたが、
今回は「スタートレック・ディスカバリー」の感想(まだ全部見てないけど)

僕は超がつくほどのファンでもないが、けっこうなトレッキーで
シリーズの多くを視聴、JJエイブラムスによるリブートも見た(ほんで不満だった)。
ネットフリックスに加入したのは、デビルマンの完全アニメ化という垂涎のネタもあったが、
このディスカバリーも理由の一部だった。

JJエイブラムスによる初代シリーズのリブートは
初代シリーズからの歴史改変が著しかったりして見るに堪えなく、
ホンマモンのファンからも評価が真っ二つに割れ、
リブートの2や3もあまり話題にならなかったようだ。
(特に2がひどかったという。僕は見てない)
そのせいか、久々のテレビシリーズとなったディスカバリーは
オリジナルシリーズと同じ世界線で、初代の10年ほど前の物語という売りで始まったのだが、
ビジュアル様式やデザインをリブート版に寄せたため、
オリジナルシリーズをよく知る我々にとっては何とも違和感のある第一話だった。

両親を失い、バルカン人サレク(スポックの実父)に育てられた
地球人女性マイケル・バーナムは宇宙艦隊の士官となり、
宇宙艦シェンジョウの優秀な副艦長として活躍していた。
惑星連邦の領域のはずれで異常を検知したシェンジョウは
そこでクリンゴン帝国の艦艇と遭遇し、一触即発の状態となる。
マイケルは精神的なつながりを持つサレクに指示あおぎ、
あえて先制攻撃を行い、戦闘民族であるクリンゴンの尊敬を得ることで
戦争を回避するべしとの助言を得るが、これをマイケルが進言しても
クリンゴンとのつきあいが短い地球人艦長はリスクを恐れて受け入れない。
(この艦長は有能なのだが、地球人の常識として考えれば
「先制攻撃で戦争を防げる」とかなかなか理解できないわなあ…)
やむをえずマイケルは艦長を気絶させ、副長として先制攻撃を指示しようとするが、
あっさり意識を取り戻した艦長によって拘束されてしまう。
結局、クリンゴン帝国との戦争を止めることはできなかったうえ、
シェンジョウの艦長は死亡、マイケルはクリンゴンの英雄を殺す手柄こそあげたが、
彼女の独断が戦争を引き起こしたと判断され、宇宙艦隊初の反逆者として終身刑に処されてしまう。
それから6か月後、囚人として別の強制労働所に移送されていたマイケルは
突然、ある宇宙艦隊の新鋭艦に収容される。
USSディスカバリー。それは戦争の行方を握る、宇宙艦隊の実験艦であった。

というのが3話冒頭までのあらすじ。
プロローグにしては2話分とか長くない? と思うかもしれないが、
「新スタートレック(TNG)」までのシリーズだと、第一話は2時間くらいの特番で始まるので
長さとしてはだいたいいつも通りだと思う。
ただまあ、僕が加入から最近までなかなか入り込めなかったのは、
JJエイブラムスのリブート版を意識した映像表現や、
どこか呑気な、いつものスタートレック的ノリがなかったせい。
3話からはいつものノリをちょっとだけ取り戻してくれる
マイケルの善き理解者ティリー(巨乳なぽっちゃりさん)も登場し、
ディスカバリーに隠された本格SFらしい設定も出てきてようやくハマれた。

従来シリーズより大がかりなセットやCG、1話完結ではないストーリーの都合上、
1シーズン1クールという短さではあるが、いかなる場所へも一瞬でワープできる
ディスカバリーのマイセリウム胞子ドライブは、スタートレックシリーズの
「何者かが同一の生命起源を銀河のあちこちにバラ撒いた」
という裏設定を補強するもののように思え、ファンとして胸が高鳴った。
一方でクリンゴン帝国がこの時代から遮蔽(完全ステルス)技術を持っていたり、
「過去作との設定面は配慮した」という公式発言とはちぐはぐな印象も否めない。
クリンゴンの遮蔽技術は、ロミュランと同盟を結んだ際に譲渡された技術で、
この時代より後のことなんだが…。

でも1シーズンだからと練りこんだであろう、
初の連続ストーリーとなるシナリオは見ごたえが高く、
無駄な伏線が何一つない(まだ途中だけど)のはお見事。
90年代にはメイク技術の問題から
「外見が人間から離れすぎるとコメディリリーフになってしまう」
と言われた異星人キャラもあまり違和感がない。

というわけで設定考証に問題はあるけど、
ドラマとしては非常に見ごたえがあるオススメの作品なのだが、
やはり前提としてある程度初代シリーズへの理解が必要となる。
(劇中で何の説明もなく、唐突にスポックとかの話出てくるんだもん)
これは日本で言うとガンダムと同じで、どうしても偉大な初代を絡めた方が人を呼べるので、
どんどんその周りばかりを掘り下げてしまう現象だ。
ガンダムは一年戦争周りを掘りつくしたので、今は逆シャアの周りばかり掘ってるけど…。
スタートレックで言えば映画の「X」以降、アルファ宇宙域はどうなったのか、
ガンダムで言えば「V」の前後はどうなってるのかとかも気になるわけで、
双方の制作陣にはそのあたりも、もっと気にかけてほしいなあ(チラッ)
と日々思っているのである。

~今週の映画~
今回は「IT それが見えたら終わり」の感想

ブログの映像貼り付けに16:9があったことに今頃気づき(わしはあほなの?)
ちょっと試しに貼ってみた。
さて、本作はスティーヴン・キングの有名すぎる傑作のひとつ
「IT」の再映像化である。
下水道からジョージィに沼ジャンルをお勧めするペニー・ワイズとしてなじみ深いが、
その映像は確かテレビ用特番として製作されたもののはずで、
今wikiを調べたら確かにその通りだった。
187分あり、日本でも前後編として放送された。
この「IT それが見えたら終わり」はあれだけ有名な作品なのに、
なんと劇場用としては初の映像化なのである。

今更説明するまでもない有名な作品だが、いちおう説明しておくと
「ペニー・ワイズ」という名前のおっさんピエロな怪物が、
子供ばかり狙って次々超常現象を起こして殺害を重ねていく。
それに気づいた主人公たちの子供グループが、
勇気を振り絞ってペニー・ワイズに立ち向かうという
スティーヴン・キングの「いつものホラー」と「いつものスタンドバイミー」が
合体したような作品だ。
よく知らない人のために言いますと、キングはだいたい
「田舎が舞台」
「主人公はいじめられっ子」
「主人公は小説家」
「性格の悪い奴(いじめっ子)がだいたいひどい目を見る」
という要素でできていて、その多くが傑作になっているという特徴がある。
代表作だけどホラーにならない「スタンドバイミー」は
むしろキングにとっては異端の作品なのだ。
藤子不二雄先生だってドラえもんやパーマンやオバQ、怪物くんはどれも似たような状況だし
どんな作家にも黄金と呼ぶべきワンパターンが存在すると思えば、
ワンパターンをさげすむ人も見方が変わってくるのではなかろうか。
だから僕がおねショタ的な人間関係から始めていくのも許されるのである(自己弁護)。

さてこのITが原作に沿っている限り、超有名な冒頭の紙ボートシーンは避けられないのだが、
前の映像化版があまりにも傑作すぎたせいか、差別化のために少々冗長な会話になっているのは
ほんのちょっと残念。
本当にほんのちょっとだ。それ以外はゴア度マシマシになっていて
ホラーファンのテンションを早々に高めてくれた。
もちろん原作がある以上、おおむねの展開は以前と同じ。
ただ以前の映像化ではあまり描かれなかった何人かの背景が掘り下げられている。
一方で、本来あるべき「10数年後の主人公たち」のシーンが全くない。
ITは少年時代と中年時代を前後しながら語られる物語である。
が、両方を描くとなるとそれこそテレビ版の187分のように膨大な時間が必要となる。
そこで少年編だけを切り取って映画化したのだろう。
これは実に良い判断だと思う。
なにしろ中年編のラストは…ラストに出てくるITの正体がアレでしたからね…。

実のところ、このくらいの子供たちを題材とするホラーは難しい。
架空とはいえ「幼い子供たちが残酷な目に合うのは苦情が来る」
なんていう判断は結構昔からあって、旧ITでも控えめな表現であったと思う。
でも本作は冒頭のジョージィを惨殺しちゃうのも大胆だったけど、
その後はあまり直接的な残酷シーンも犠牲者も少なく、
それでいて上質な恐怖を描いているなど、原作の力もあるだろうが
「MAMA」で悪霊の異質な躍動を描いたムスキエティ監督の演出力が光っている。
冒頭の会話以外は褒めるところしかない久々に見事なホラー映画を見させていただいた。

…と思ったら終わり際に「チャプター1」と出て驚愕。
中年編もやるのか! 
あの散々言われたオリジナルのラスボスをどう表現するのか
きっとうまくやってくれるに違いないと期待は高い。

ところで先週ツイッターをにぎわせていた、
主人公の少年グループたちが水泳する場面。
太っちょのベンくんが見事な陥没乳首をしていて、
少年たちの会話がまるで耳に入らなかった。


誰か責任とって。
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