血煙銭湯

毎週日曜日更新

2018年07月

先週は寒暖差が極端だの言って「寒いぜ10度台だぜ」などと北海道の寒さ自慢をしていたが、
先週末あたりから気温の高い日々が続くようになって、ここ数日30度台で苦しんでいる。
30度くらいがなんでえ、本州方面じゃ40度だぞ!
という声が聞こえそうだけど、
北海道で30度に達するなんてめったにないことなんだからね!(シェリル調)
まして田舎じゃエアコンをつけてる家庭そのものがほとんどなく、
雪国だからどの家も熱を逃がしにくい構造になっていて、
本州方面とじゃいろいろと感じ方が違うと思う。
うーん、夜になって熱が引いてくれるといいけど…。

さて、先週は月曜日から例のHOOOKを設立、運営した浅野隆宏さんが


というので注目しながら各作業を進めていた。
だが発表されたのは「HOOOKがいかにして設立されたか」
という一種のサクセスであった。
期待していた漫画関係者のうちには「は?」と目を点にした人もいたのではなかろうか。
かく言う僕もそのひとりであり、
「…えーと、それは重大発表っていうか、ただの経緯説明では…」
てっきり僕はHOOOKがどのようなところで、どのように漫画家たちの収入を保証していくのか
という具体的な説明がされるものと思っていたのだ。
その経緯説明において、浅野さん自身が「結論を先に述べないとだめだ」と言いながら、
「いや浅野さんこれ言うてることとやっとること逆やがな」などと心の中で突っ込みながら、
経緯が説明されるnoteを読んでいたが、
結局「このようにたくさんの国々の投資家から援助を受けて設立準備に入りましたよ」
という形で結ばれ「えっ、これからなん?」と唖然としたオチ
……になるのかと思いきや、どうも大本営発表は今日、日曜日夜にズレこんだらしい。

まあ、ちょっと批判気味な言い方になってしまったが、
それだけHOOOKに期待していたし、その設立経緯は本当にサクセスと言うべきもので
「この経緯をマンガにしたらええのに」などとちょっともったいなく思ってしまったからだ。
とはいえこの経緯を読むと、諸手をあげてHOOOKに賛同すると言えるかどうかは
まだちょっと微妙である。
すべての漫画家、その志望者の収入を保証するということはできないだろうし、
おそらくそこにはある種の「ふるい」があるだろう。
海外展開を視野にいれているとなると、その辺のレギュレーションは厳しいかもしれない。
中国あたりはともかく、アメリカやヨーロッパ方面はエロにうるっさいからね。
おねショタな関係で主人公まわりを転がそうとする僕なんかは
小児性愛的な問題でふるい落とされるんじゃなかろうか、という前提的な不安があるわけだ。
もしこれが「意識高い系」以外の漫画は落としていこうぜ、
てな方向へ行ってしまったら、きっとそれは名目だけは高いけど、
面白くない会社となってしまうかも……。
浅野さん自身が漫画家であるから、その辺は杞憂であると思っていたい。

──などと真面目な話はここまで、あとは先週描いたイラストのお話をしよう。
先週は個人的にいろいろ事情があったので、2人しか描くことができなかった。
僕の本題は漫画の方なんで、その辺は勘弁してくれと言うほかはない。
キャミィ01_0000

前回で味をしめたので、今回もカプコン格ゲーから題材をとった
キャミィは自分ではほとんど使わないけど、
春麗に比べると描きやすい(特徴をつかみやすい)のでけっこう描いたことがある。
アングルはできるだけやったことのないものを、と考えているので
尻を中心に上へ突き出すポーズにした。
いつもと似ているようで、違うポーズは楽なようでなかなか勉強になった。
前から見るような体勢とは性器、いわゆるおまんまんの位置が変わってくる
この辺の位置は描く機会が少ないから、感覚として得にくいものだったのだ。
塗りそのものはまあまあとして、ケツの形はうーんもうちょっと…。
なかなかこういうアングルから撮った実物写真とかないから、
参考にできるものもなくてねえ…。
たしか最初は違うポーズだったんだけど、うまく構想がまとまらなくて、
悩んでいる時間も惜しかったんで、わりと形をだしやすいこのポーズになった。
あとエロに関してはこのアングルやポーズというのが最大の苦しみで、
何をしようとも結局帰結する行動や部分が決まってしまうのが、持続していく上での難題。
エロで10年20年食っていってる漫画家の方たち、この辺本当に尊敬に値する。
エレナ001_0000

エレナはストリートファイターⅢが発表された当時からのマイキャラで、
周囲の友人らは「動きが気味悪い」「手足が長すぎる」などと敬遠していたが、
僕はそのすらりとした手足や、褐色の肌、黒人離れした容貌に
格ゲーがヘタクソながらも惹かれていた。
おっぱいアングルにしたのは、上でも話したアングルの問題もあるが、
もっとおっぱいをネタにした方がよいという練度の理由もある。
実際に、構図そのものには苦戦していないものの、おっぱいの形状や位置は何度も描き直し
どちらかというと着衣状態より、FANBOXやファンティアにあるおっぱい丸出し差分の方が
いい具合のおっぱいになっている。
これも当初は手ブラにすべきかという案もあったのだが、
そうすると手を無くした時との差分をどうやって作ったらいいのか
よく分からなくて時間的な制限もあり、なんか、ううん、なんか。
みたいな納得しきれない。
両方の絵とも背景に、荒々しくにじんだ感じの色を置いているが、
これは前回のモリガンあたりでつかんだ感触で、
たぶん僕はこういうにじみが好きなんだと思う。
性格に合っている。

しかしレース模様をつけるだけで、ほんとなんかエロくなるね。
マンガハックPerryの一周年記念イラストにも使ったけど、
買ってよかったレース素材。
えっ そのイラストに関する話はしないのかって?
これはあちらに贈ったものなんで、あそこ以外には展示しない方針なのです。

~今週の映画~
今回は「ジャドヴィル包囲戦六日間の戦い」の感想。

いわゆるネットフリックス限定配信映画。
国連の都合でコンゴ共和国の無防備な僻地へ駐屯させられた
アイルランド兵士たちの苦闘を描く実話の映画化である。

1960年、コンゴ共和国コナカ党の指導者チョンベは
共産国と手を結んでいた国の方針に反旗を翻しフランスと手を結ぶと、
コンゴの収入の半分以上を占めるカタンガの独立を宣言した。
かつての首相ルムンバを始末するなど、人権問題を揺るがす事態に国連も黙っておらず
状況に中立なインド歩兵師団やアイルランド軍を派遣。
この際、アイルランド中隊150名が駐留場所に指定されたのが
ジャドヴィルのえらく見晴らしのいい場所にある建物群である。
防壁もない、塹壕もない、食料はわずか、武器弾薬は第二次大戦中のものという劣悪な状況で、
敵は装備や練度に劣ってるかもしれないが、とにかく数だけはものすごい。
しかもフランス人傭兵を指揮官として雇っている。
「UN軍本体が謀っているラジオ局奪回作戦が無事に終わればいいが…」
という中隊長クインランの願いも空しく、
本体のインド歩兵師団は強硬手段に出て、ラジオ局の奪回に成功するが、
一般市民にも著しい被害を与えてしまう。
怒り狂ったカタンガ兵は、歴戦のフランス人傭兵の指揮のもと、
報復としてアイルランド兵たちを急襲する。
市民に被害を出した失敗を懸命に隠そうとする
(無能)指揮官のオブライエン博士は、クインランの支援要請を徹底して拒否し、
むしろ見捨てるような態度に出る。
果たして150人のアイルランド中隊たちは生き残ることができるのか。

というのがあらすじであるが、なにぶん史実なので
その気になってちゃんと調べればオチが分かってしまうという欠点はある。
しかしアイルランド兵たちが置かれる環境は過酷だし、
とにかく上層部の無能っぷりが視聴者をイラだたせてくれる。
戦術的に考えて、アイルランド兵たちの駐屯場所はまるで砦の体をなしてないし、
襲ってくださいと言わんばかりの場所に配置したところで、戦略的な効果も薄いだろう。
中隊指揮官クインランは部下思いで、戦史を愛読するなど有能なのだが
いかんせん彼を含めアイルランド兵には実戦経験がなく、
とにかく物資も人員も足りない。
敵国のまっただなかということもあり、敵は何千人という人海戦術で攻めて攻めて攻めまくる。
こんな大ピンチの時はそう、特殊部隊の投入……
などとブラックホークダウンライクにはいかない。
ああいうのが生まれてくるのはベト戦以降あたりからで、
実践経験もなく、イギリスより規模の小さいアイルランド軍では望むべくもないのだ。
それを考えると、ほんとアメリカ軍怖えな強いななどと改めて実感させてくれる。

徹底した人海戦術によって圧倒するカタンガ軍に対し、
弾薬も食料も医薬品も尽きたアイルランド兵は、クインラン中隊長はどのような決断を下すのか。
それは直接見て確かめてほしい。

先日のダンケルクがあんまりドンパチしない戦争映画だったもんで、
本作の限界ギリギリまで粘るようなアイルランド兵たちの戦いは
久々に戦争映画らしい戦争映画を見させていただきましたわん。
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北海道は相変わらず不安定な天気が続いている。
土曜日は降水確率が20%だったはずなのに、ドバドバ雨が降ったと思いきや
そのあとカラッと晴れた…のもつかの間、また曇るという忙しい天気だった。
しかも暑い。
で、今日は寒い。
なんだこれ。

デッドマキシマムは16話の方、やはりセリフ周りで苦戦している。
伏線の大部分を明かすため、難解な用語が頻出するうえ
語るべきことと語らなくていいことのバランスを取りながら説明しないといけないので、
こっちのページでネームを修正すると別のページの方も修正しないといけない、
みたいなケースがよく起こり、あっちこっちページを移りながら頭を悩ませている日々だ。
この話題は以前も言ったことだが、そうして悩みながらも
作画は進んでいるのでだいたい追い込みにさしかかっている。
でも難しい概念が出てくるので、その補助として解説の四コマをつけた方が
いいんだろうなーと考えている。
なんでこんな難しい設定を盛り込んだんだおれは。

でまあ16話はそれでいいとして、その後の問題は残る2回ですべてにケリを
つけなければいけないということだ。
構成は頭の中にだいたいできているものの、
17話を32ページで収めるのは少し難しいかもしれない。
18話は40ページにしようと思ってるんだけど。
のちのペースにも支障がでてくるんで、できれば17話のページ数は増やしたくないんだ。
──その昔、横山光輝先生が原作つきの連載をしていたころ、
編集の連絡ミスによって、最終回まで原作が残り二回なのに、
雑誌の連載枠があと一回しかない、というどうにもならない事態に陥った。
お手上げになった編集側は、横山先生にすべてお任せするという結論に至ったのだが、
果たして出来上がった原稿は、原作を一切省略することなく、
ピタリと二回分が一回の原稿の中に収められていたという。
僕はいま、その構成力がほしい。

とはいえこれも二か月先には終わってしまうので、それはそれでいいとして(よくない)
問題は次の作品で、ネタはギャグと決めているものの、
予定している第一話の内容が盛り込みすぎになっている。
ここはひとつシンプルな背骨を通すべきと分かっているのだが、
上述の悩みもあってこれがちょっと思いつかない。
肉付けは完璧に決まっているだけに、読者の気を引くべき第一話の骨子が
できていないとは…うーむ。
こんなんだから、設定画とかタイトルとかもまだ表にできないのだ。

ここのところは、こういうことばかり取り留めなく考え続けている。
そういえば、そろそろ今週は定例のえっちなイラストを描く時期なのだが、
うーんまあちょっと…描くんだけども、途中健康診断があって、
16話の追い込みと、電子書籍の表紙イラストも描かないといけないので、
枚数はどのくらいになるか見当をつけられない。
最低2キャラはいきたいんだけど、3キャラいけるかなあ…?
モチーフは今回もカプコン格ゲーでいこうかと思ってるけどまだ決定じゃない。
pixivファンボックスが始まった当初は、
運営が「支援のお礼みたいな感じで絵を描くな。いつも通りに作品を発表しとけ」
という説教かましてきたけど、僕自身はこのお礼形式でよかったと思う。
漫画にかまけて回数が減っていたカラーを積極的に描く機会が増えたし、
その結果として自分なりの塗り方が完成してきたんだから、
この形式を続けて来た価値は間違いなくあったのだ。

いやしかし、エロを狙ってないイラスト描いてもエロく見えるのは何なんやろ
俺の本性か。

~今週の映画~
今回は「エグザム」の感想。

とある有力企業の就職試験、その最終段階へ到達したのは8人の男女たち。
彼らには各々番号付きの一枚の紙が配られ、
ものものしくも警備員が見守る中、試験監督から説明が行われる
「試験監督および警備員に話しかけてはいけない」
「試験用紙はいかなる理由があっても破損してはいけない」
「質問はひとつ、答えもひとつ」
というルールを告げた試験監督は部屋から出て行ってしまう。
制限時間は80分、配られた用紙には番号以外何も書いてない。
いったいどういう質問で、何を答えればいいのか。目を白黒させる8人。
うちひとりの女性が、これはきっと何か心構えのようなものを書けばいいのだろう、
と用紙に自らの思いを描き始めると、間もなく動き出した警備員によって
試験会場からつまみ出されてしまう。
間違った答えを書いても、用紙破損と見なされて失格となるのだ。
危機感を抱きながらもなすすべない残る7人、しかし──
ルールで言われていないことなら、逆に問題ないのでは?
そう思った一人の男が他の面々に話しかけ、
「質問が何かわかるまで手を組もうぜ」ともちかける。
警備員の反応はない。
かくしてサバイバルにも似た異様な就職試験が始まった。

シビアなルールを破ると即終わり、という点からしていわゆるデスゲーム系の映画である。
何が質問なのか答えなのか分からず、それを探るための行動がしだいに過激になっていき
彼ら自身の命が危機にさらされていく。
本作の予告編を見たのはかなり前のことだが、それを見た僕の予想はそうだった。
実際中盤くらいまではその方向へまっしぐらに進んでいく。
しだいにこの試験を行っている会社の正体が明かされていき、
登場人物たちの素性や世界観なども語られ、
悪い方向へ落ちていくストーリー。
が、しかし。
しかしである。
クライマックスでは見事などんでん返し。
デスゲームにありがちな悪趣味さも、悪趣味にしているのは参加者の性格である
という論理のスキを突かれ、久々に「してやられた」と思わされた良作である。

予告編がデスゲームやホラーっぽいのが損をしているくらいで、
そういう悪趣味なネタが嫌な人でも全然大丈夫なので万人にお勧めしてもいい。
逆に言うと派手さがないので、それで話題にならなかった映画なのかもしんない。
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連休中、本州が猛暑で騒がれている中、北海道は七月に入ってもなかなか気温が上がらず
服装もどうしたらいいのかよく分からない難しい日々である。
暑い年は6月から暑くなるんだが、今年は梅雨前線や寒気が長々と居座ったり
「夏」らしい調子が上がってこないのは何だか妙な気分…。
とりあえず先週デッドマキシマムの15話を上げたところなので、その裏話をしていこう。

デッドマキシマム15_001

15話はネーム時点で、もうこのシリーズを閉じようという決意をしていたので、
重要な部分をのぞいて全体に端折った構成になった。
冒頭、5話にちらっと登場した謎の少女が再登場しているが、
彼女がなぜゾンビに襲われないのか、彼女の正体や役割が何なのかについては
一つ飛んで17話までおあずけである。
…勘のいい人はうすうす気づいていると思うけど。

ソフィーが戦闘メンバーとして加わるのは、シリーズの途中で思いついた。
とにかく敵に比べてグリム側の陣容が薄いので、強力な戦闘メンバーを加えないと
話が横方向に広がりにくいし、フランクとまともに会話するには
彼女のような知性と知識を兼ね備えた人物が必要でもあった。
中州編の初期構想ではグリムがヴクブと戦う予定だったのだが、
上記のような理由もあって、ソフィーが代わりに戦うことになった。
これは来たる16話を見越しての展開であるが、
話をたたむにあたって、彼女とヴクブの活躍を相当削らざるを得なくなったのは
僕自身痛恨の極みである(シリーズ全体を盛り上げられなかった僕の責任だ)。

ソフィーの戦闘コスチュームは赤と白を基調にした、アメコミ調のすけべなデザインになっている。
配色はもちろん黒青赤のグリムと対局を意識したもので、
ホワイトナイトという通称も用意していた。
良家のお嬢様がなんでこんな服を着てるのかと言えば、
作者のただの趣味という答えが一番だが、
デザインコンセプトには「戦う花嫁衣裳」というイメージがあり、
これはキルシュに対する意図を示したものである。
なんか唐突にキルシュへの想いをあらわしたみたいに見えるけど、
これも話をたたむ都合上のことなので致し方ない。
彼女の真意としては、かなり以前からキルシュに好意を抱いていたのものの、
そこは年齢差(16歳差である)もあってなかなか表に出せなかったわけ。
まあ彼女も名家の跡取り、そろそろ子供を授かりたい時期。
美少年が現れて命を救ってくれたところにコロっといってしまったのだろう。
(犯罪臭がするくらいの年の差だが)
いっぽうでグリムとキルシュの関係は相棒だったり姉弟だったり
男女の関係になかなか発展しなかった面は否めない。
この辺りの理由は最終回までに描ければと思う。

ジャックの二度目の復活に関しては、彼が登場した7話の時点では予定されてなかった。
ずっと一度目の復活した姿で通す予定だったのだが、
7話の表紙があまりにもデキが良く、フォロワーにもベタ褒めされたことから
あの表紙のジャックがぐいぐいと自己主張を始め、
ついには二度目の復活のトビラを開くにいたった。
ウィンディゴ病は彼の(人食い)狂気を絡めた副次能力であったが、
こうした再復活の伏線ともなり得たという意味において、
うまいこと働いた設定だと思う。

残りの部分は第9話の伏線回収にすべて使っている。
キルシュの素性については9話の冒頭で微妙にほのめかしているが、
ある種のネグレクトを受けており、顔についている汚れというかディティールがその証だ。
9話でベスと会った翌日に、その頬のディティールが無くなっているところが
伏線でもあったわけ。
実際のところ、本物のキルシュが死んでいて、
じゃあ今のキルシュがいったい何なのかについては
今描いている16話で明かされる予定。

おおっとなんということだろう。今回はこれ以上特に語るべきことがない。
むしろ問題なのは、キルシュの素性を含め、シリーズ全体を通した秘密が語られる次の16話で、
これはツイッターでももらしていたように、ネーム構成に非常に苦労した。
久々に知恵熱が出るくらいにのたうちまわった。
本来なら小出しにしていくべきだったものを、この一回ですべて語らなければならないのだ。
それでいて語りすぎれば話のあそびがなくなるし、
説明が足りないと意味がわからなくなるし、そのバランスにとにかく苦労した。
反面、語りが中心になることから、そんなに難しい絵はほとんどないのが楽ではある。
シリアスものは、カッコイイ絵をどんだけ描いてもいいんだけど、
こういうところに苦労があるのが精神的な重さになりがち。
次はもう、本当にこういうところどうでもいい、それでいて俺にしか描けない
大げさでバカな話を描いていきたい。

~今週の映画~
今回は「スティールワールド」を見たよ


これも以前にようつべで予告編を見たんだけど、ロボットのあまりの適当なデザインに
(悪い意味で)ちょっと期待しながらも、金を出すのももったいなさそうだったんで、
結局本編を見てなかったのだな。

三年前、地球は突然宇宙から来たロボット軍団に攻撃され、
圧倒的な戦力差からわずかな期間で全面敗北してしまう(とナレーションだけで説明される)。
以降、地球はロボットたちに支配され、ロボットに服従を誓った一部の人間以外は、
外出を禁じられた息苦しい生活を余儀なくされてしまう。
全人類には右耳の下にセンサーが取り付けられ、
勝手に外出するとそれがロボットたちに知られて始末される状況だ。
主人公、ショーンは空軍パイロットだった父が行方不明となり、
探しに行きたいが外出禁止令によって探しに行けずにいた。
美人の母親はロボットに服従を誓ったハゲのおっさんに言い寄られており、
こっちも放っておけない。
やきもきするある日、友達と一緒に壊れたPS3(!)を修理していると、
接続していたバッテリーの配線ミスから感電、
これによってセンサーが一時的にダウンすることを発見する。
夜間、久々の自由を謳歌するショーンたちは、行方不明になった父親の資料を探しに学校へ潜入。
父の行方の手がかりをつかむが、センサーが復活しハゲのおっさんに捕まってしまう。
ロボットへの反逆をたくらんだかどにより、ショーンがディープスキャンという
脳情報をすべて奪われる処刑にかけられたとき、
ひとり捕まるのを逃れた仲間の少年の働きによってスキャンが中断、
理科室のガスを利用した爆発でショーンたちはうまく脱出する。
果たしてショーンたちは父親を見つけられるのか、ロボットに支配された地球の運命は…?

というのがあらすじ。
一般的な映画評が☆3つといまいちだが、退屈な映画ではない。
次から次へと主人公たちがピンチに見舞われるし、父親の手がかりをもとめて
とにかくあちこち移動し、時にはちゃんとした謎解きもある。
ロボットは(予算の関係か)あんまり活躍しないが、思っていたよりはちゃんと動く。
ただ全般的に見ていて「これイギリスのテレビドラマちゃうん?」という演出が多々。
NHKの6時くらいに放送していてもおかしくない
青春ドラマとSFの融合っぷりに「スペルバインダー」かな?
と錯覚すらおぼえてしまうほどだった。

最終的な逆転方法もいかにもテレビシリーズならあり得る展開。
もしかすると元々テレビ用の企画だったものを、
予算やスケジュールの都合で映画として作ってしまったのかもしれない。
良作、とは言えないものの、低予算映画にしては意外とちゃんとしてる!
そんな映画だ「スティールワールド」。
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先週お伝えしたタブメイトの件、さすがに漫画を描き続けていると
その量と時間によって慣れてくるもんで、今はかなり手になじんできてる。
最初の頃は左手の混乱によって、右手の線まで緊張してうまく引けなくなる体たらく。
ほんまに大丈夫かいなと不安だったのがうそのよう。
同じ場所にずっと待機させていなければならなかった左手が
自由に動かせるようになったのは本当に楽な感じがします。



↑これが当代で
TAB-MATE CONTROLLER
セルシス
2014-07-25


↑これが先代。
つまり以前からこういうのはあったんだけど、なぜ購入してなかったのかというと
レビューが口をそろえて「三か月で壊れる」と。
そんなにもろいんじゃあ意味ないじゃん、と感じて手を出さなかったわけ。
今回、モデルチェンジによって買った理由は、中央にあるコントロールスティックの有無だ。
コンシューマゲームでもそうだけど、一番負荷がかかって壊れやすいのはスティック部分で
僕のPS3もPS4もここが最初にイカれていた。
タブメイトの早期損壊もそこが原因で、
長持ちさせるため多少の不便を覚悟で撤去したのだろうと推察できる。
旧タブメイトを使っていた人には、スティックが無いことに不満を唱える人が多いが
逆に使ってなかった人間にはどうでもええ話で、
特に僕は今までもゲームパッドにあてていたキーが少数だったから
これでいいのだ(バカボンパパ)。

さて少し前に赤松健先生あたりが「今年の漫画業界にはいろいろと大きな動きがある」
と予言めいたことをおっしゃっていた気がするが、
つい先日、kindleがインディーズ漫画のスカウトにとうとう動きを見せた。
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その名もkindleインディーズマンガ(まんまやがな)
このための基金を作って上位20人には10万円の報酬を与えるという
comicoと似たようなもんだが、あっちよりはバックの会社がデカイだけあって
ちゃんと報酬を払ってくれそうではある。
しかし、問題も0ではないようだ。
上位にもれた人間には一円も入らないのだろうし、
ここに投稿した作品はkindle有料作品のようなPVや購入による印税は発生しないらしい。
この手のインディーズマンガモデルとしては、ほんの少し旧タイプであると言える。

では新鋭はどうかというと、例の浅田隆宏さんが漫画家たちのためのサイト
「HOOOK」の準備を着々と進めていて、近いうちに大きな発表があるもよう


こちらは投げ銭やPV報酬、さらには外国語翻訳なども予定しているらしく、
もしかすると今後の台風の目になる可能性もある。

僕がデッドマキシマムを終わらせると決意した理由のひとつが
このHOOOKで、一年かけてうまく人気を上げることのできなかった反省を生かし、
別の漫画で早く再起したいと思わせるに足る意気込みが、
この浅田さんのプロジェクトにはあったのだ。
詳しくはこっちの方も呼んでくれい。

新作を予定している漫画は、以前出した漫画のキャラクターの再利用した
(またかと思われても仕方ないが、そんなにいいキャラクターはポンポンでてこない)
まったく別の新作で、紆余曲折あったけどうまくまとまりそうな設定になってきている。
ギャグでラブコメでアクションで特撮というジャンルの予定。
だから一つの作品が終わるといっても暗い気持ちはなく、
むしろ気分が高揚しているくらいで
デッドマキシマムを描きながら、ひそかにそっちの準備を進めようとしていると
お世話になっているマンガハックの方からも連絡があり、
(だいたいこういうタイミングで来るのはなぜだ。超能力者でもいるのか)
何やらあっちにも大きな動きがありそうな雰囲気。
…以前にアンケートがきて、そういう考えはあるんだろうな~と察してはいたんだが。

こうなるとどうすべきか僕も迷う。
問題はHOOOKが実際にどのような仕様になるかどうかで、
マンガハックやkindleインディーズなどと比べて将来性が持てるか見極めねばなるまい。
HOOOKは無料閲覧は動画で、有料閲覧が通常の電子書籍と同タイプという仕様
…を想定している可能性があり、PV報酬や多国語翻訳もつくかもとなると、
それ一本に絞った方がいいかもと考えられるわけで。

こんな風に考えてしまうのも、ハックじゃぜんぜん大した人気がないからなのよね僕。
お前の漫画がニッチだからだろ! と言われればその通りだとうなずくしかないが。
とにもかくにもとりあえず今の漫画を終わらせて、
新作を描き上げてからどうすべきか迷えばよい。
という結論に達しながらも、日々迷い続けているという日常報告でした。

デッドマキシマムはあと5回と想定していたけど、
構成を整理した結果あと4回くらいで終わりになりそうです。
そんな最新15話は今週火曜日UPの予定。

…あっ、しまった。まだデータを書き出してないΣ(゚Д゚)

~今週の映画~
今週は以前お伝えしたとおり「ヴォイド」を見たのだ。

保安官のダニエルは深夜のパトロール中に、負傷した男を発見し近くの群立病院へ連れていく。
命に別状はないが、男の腕には無数の注射跡があり、かなりのジャンキーのようである。
この病院にはダニエルの妻が看護師として勤務しているのだが二人の関係は微妙だ。
どうもかつて子供を妊娠したのだがあえなく流産し、以来関係がぎくしゃくしているらしい。
院長もかつて愛娘を失ったことがあり、ダニエルと妻アリソンに同情的な態度を見せる。
何の偶然か、ここには間もなく出産をひかえた若い娘が祖父を連れて訪れてもいた。
妻との会話のあと、負傷者の様子を見に病室を訪れたダニエルは、
そこで別の患者の顔をハサミでえぐっている看護師に遭遇する。
そのあまりの狂気じみた態度と、自分へ向かってくる恐怖に思わずダニエルは射殺。
彼が車の無線で異常な状況を報告していると、黒い三角模様のある白装束の人物に突如襲われ、
あやうくナイフで殺されかけてしまう。
白装束は集団となって病院を取り囲み、中に入る気はないものの、外に出る者は許さないそぶりだ。
そんな時、フロアの奥で異常な物音が発生。
様子を見に行ったダニエルは、そこで先ほど殺した看護師が変貌した例えがたい怪物を目にする。

裏話を聞くと、どうもクラウドファウンディングで資金を集めて作った映画らしい。
序盤の主人公と病院回りの事情を説明するくだりや、畳みかけるような異常事態は上々。
途中、登場人物たちの多くが子供や妊婦を失っていることが分かり、
そこに唯一、出産間近な妊婦がいるという意味深な状況から
これが単なる邪悪教団ホラーではなく、
親子の愛憎を含んだ混沌を描こうとしていることに気づかされる。
ただ残念なことに、若干の説明不足と中盤展開のたるみが苦しい。
特に途中から病院へ乱入してくる親子の間に何があったのか、
彼らが謎の教団の集会をどのように知ったのか、あまり説明がないので
視聴者が想像でおぎなっていくしかない(これはこれでよいという人もいるだろう)。
もっともその中盤からある人物の正体が判明し、
終盤は怪物オンパレードや超人化した教祖など、
その筋が喜ぶネタが満載されているのはなかなか楽しい。

方向性としてはクトゥルフものや「ヘルレイザー」とか「マウスオブマッドネス」を
狙っていたのかもしれないが、クライブ・バーガーやジョン・カーペンターほどの
演出力があれば…という惜しさがあり、結果的には「パラダイム」になってしまったみたいな
普通のホラー映画だった…。
終盤のモンスターパレードや異次元パワーはよかったけど、
僕はPVからグチャドロカルトホラーを期待していたため、
ちょっと肩透かしをくらってしまった。
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先週は定例の時期だしイラストを描いていくかあ…と悠長に構えていたら、
電子書籍の出版元であるエコーズさんから「7巻出るよ」との通達があり、
急遽宣伝用の一枚を描かねばならない事態に。
電子書籍宣伝01_010

いやいつものペースなら、もう一ヵ月先になると思ってたのよ。
一回校正が来たんだけど、誤字の直しがなかったし、表紙の確認だったりしたんで、
またあとで来るんじゃないかと思ってたら、そのままストレートに書籍化されちゃったんで、
全然、心の準備もネタの準備もできてなかった。
しょうがないので、前にグリムでやったネタの焼き直しみたいな宣伝にせざるを得なかった。
しかし、7巻の絵は僕も久々に満足のいく迫力が出たので、
ちょっとストアの方を開いて大きいサイズで見てくれたら嬉しい。
とりあえず、PC版ブログ左上の直売リンクには、あとで商品貼っておくよ。

さて今日の本題であるイラストの話をしよう。
今回は週末に一般向け用の3本をツイッターにあげたら、
有名同人作家やプロ作家などもRTしてくれたおかげで、予想外にバズったのが嬉しい。
少数だけどフォロワーも増えたよ。
純粋に僕の塗りが良くなったこともあるかもしれないが、
物語上で良し悪しを描かれるガンダムヒロインに比べ、
格ゲーヒロインは自己の思いを投影できるぶん、
各ファンの思い入れが強く現れるのかもしれない。
この三枚にはいずれもえっちな差分があるので、
興味がある人はFANBOXファンティアでお布施をください。

春麗001_0000

格ゲーヒロインといえば、避けて通れないほどの金字塔である春麗は、
僕はリアルタイムに遭遇して衝撃を受けたもんだが、
描いた回数は思いのほか少ない。
アナログ時代に何度か描いたものの、
いずれも満足いく出来にはならず、苦手意識が働いていたのだ。
非対称な髪形や、複雑なお団子周りなど、未熟な当時の僕にはバランスを取りづらかったのだろう。
でも今ならば、今の技量ならば描けるに違いない、それも難しい顔の角度で
と挑んだはいいものの、当初がおとなしいポーズを志向していたためか
思うに任せずいったん総ボツにし、動きのあるポーズにしたら今度はあっさりいい感じが出たので
やはり僕はおとなしい絵がまるで向いてないのだなと、再確認するに至った。
(いい加減に学べ)
僕はキャラクターの下半身を細く描くのが苦手…というか
足に曲線を出した方が色気とか、脚らしさが出ると感じて描いているので、
いつも太くなってしまう。水無月十三先生とか、ほっそい脚なのに色気出すなあ…
と常々感心しながら、その画風を取り入れられず悩んでいるのだが、
春麗に関してはそんな悩みなどどこ吹く風。好きなだけ太くできるので楽だった。
若かりし頃にさんざん筋肉描いたので、筋肉の付き具合などお手の物である。

モリガン001_0000

ストⅡがゲーセンに出た時も衝撃だったが、
ヴァンパイアもゲーム雑誌にその一報が出た時は衝撃だった。
ストⅡシリーズとは一線を画するアニメチックな表現、
全て人外かつ洗練されたキャラクターデザイン、
そしてBENGUS氏によるハッチングを生かしたイメージイラスト。
当時の僕は我を忘れてその絵の模倣に熱を上げた記憶がある。
…のだが、よく考えるとそれ以来モリガンの絵を一度も描いたことがなかった。
えっちすけべなお姉さんは嫌いじゃないのだが、当時の僕は硬派なキャラの方に傾倒していたし、
女性キャラではフェリシアの方が親近感があった。
だからpixivにフェリシアの絵とかあるわけで。
今回描くにあたって、前にフェリシア描いたしじゃあモリガン描こうとあいなった次第。
ポージングは最初からこういう構図と脚の置き方と決まっていたので大きな変更はない。
しかしどうにか胸を見せられないかと苦心したが、どう考えても骨格的に無理なので、
ならば局部をもっと前にぐいっと見せるしかねえ、とやや魚眼レンズ。
久々のモリガンであったわりに、塗りといい今回描いた三枚の中では一番のお気に入り。
翼のぐちゃぐちゃした色合いもいい雰囲気が出てると思う。
春麗といい、背景にレース模様があるけど、これはちょっと前に
レース素材を買ったまま、使う機会を逸していたので(;^ω^)
もともとは下着の模様用に買ったんだけど、これ一枚一枚ごとでは
ちょっと下着の模様として成立しづらい。
そのうち組み合わせないといけないなあ…。

ポイズン001_0000

三枚目のポイズンは、これはpixivの方のコメントにも描いたけど、
寸前にクリップペイントに最適化したデバイス「タブメイト」が届いたので、
その調整もかねて描いている。
しかし、それほど難しい構図でないにもかかわらず、
長い事ゲームパッドにショートカットキーを設定して描いていたのが、
タブメイトを握って全く違うボタン配置と連動して描かねばならず、
ひどく頭と左手が混乱してしまい苦戦してしまった。
描いた本人にしか分からないけど、細部に納得がいかず画竜点睛を欠いている。
結局タブメイトの理想的なボタン配置に気づいたのはこの絵を仕上げ、
今後の漫画用に設定を描いている最中のだった。
でもまだ左手と脳は追いついておらず、まだしばらくはこの違和感が続きそうである。

当初、三人目の絵を誰にするかはまったく決めてなくて、
ストⅢの資料もどっかいっちゃったし、どうしようかなと迷っていたら目に付いたのが
本棚にあった中平正彦先生の「RYU FINAL」
ここに出て来たポイズンにしょう、というわけ。
男性疑惑のあるポイズンだけど、僕はあくまで女の子として描いた。
どうもこのニューハーフ疑惑も、本当はクレームなんかなくて、
「クレームをつけられる前に対策した」のが真相らしい。
何にしろめんどくせえ国だなアメリカ。
おっぱいメインになっているのは、あまりにも股間中心の構図が多かったので、
ここはひとつおっぱいを主役にした一枚を描いておきたい、という野心から。
それもあって垂れ乳にしたのだが、なんということでしょう
シャツの上からでは、いまひとつそれが分からない\(^o^)/

ツイッター上のRTもあって、今回はウケがよかったので
次も格ゲーキャラにしようかなと味をしめている。

~今週の映画~
前回はネトフリ限定映画「リチュアル・いけにえの儀式」を見た。

先日、相互フォローの絵師さんが2018年公開映画のランキングを並べていて、
そのトップが「ランペイジ」だったので、PSストアで配信始まってないか探していたら
見つけましたよ「はきだめの悪魔
いやあ、こんな素晴らしいB級ホラーの配信を始めるなんて侮れませんねPSストア
内容は評価どおりの星1つなんで、クソホラーファンはぜひ見てみてください。
……じゃなくて、見つけましたよ「ヴォイド」!
これ2017年のホラーとして注目されていた一作なんだよね。
マニアックなんでPSストアではきっと配信されないだろうと思っていたからこれは嬉しい。
嬉しいので今日見る映画はこれにします。
……じゃなくて「リチュアル」の話だよ。忘れるところだったよ。

仲良し5人組の男たちが、ある日バーで「次の休暇をどこで過ごそうか」と話し合っている。
うち一人のロバートがスウェーデンでトレッキングなんてどうだろう、と提案。
しかし結局決まらぬまま帰途へつく五人。
主人公ルークは飲み足りないのでロバートとともにコンビニに寄るとそこには強盗が。
角度的に強盗に見えづらかったルークはうまく棚の影に隠れたが、
ロバートはそうもいかず、結婚指輪をめぐって強盗と言い合いに。
酒瓶を手にロバートを助けに行くべきか迷うルーク、
だが勇気を出せぬ間にロバートは殺されてしまった。
──六か月後、4人になった男たちの姿はスウェーデンの草原にあった。
ロバートを弔うためにここへ来た彼らだったが、途上メンバーのひとりが足を捻挫してしまい
森を迂回して何日も歩くのは難しくなってしまう。
そこでメンバーのリーダー格が森を突っ切ろうと提案。
しかし森は広大で、しだいに日も暮れて雨まで降って来た。
やむを得ず四人は森の中で見つけた小屋で一晩過ごそうとするが、
そこには謎の文字や飾り物、さらに二階には二本の角をもつ像らしきものが…。
得体のしれない恐ろしさを覚えつつ一晩過ごした彼らは
それぞれ説明しがたい悪夢を見てしまう。

評価の分かれる映画だ。
だが「ネトフリ限定公開!!」とよさそうな売り文句を言いつつ、
「クローバーフィールドパラドックス」や「飢えた侵略者」などどーしょーもない凡作を
かまされた身にしてみるとかなりの良作である。
評価が分かれるというのは、ホラーとしての要素で
本作はオカルトの体を借りたモンスター映画なのだが、
そのモンスターがいるのかいないのかはっきりせず、
チラッチラッとなかなか見えてこないところがいい。
ホラー映画におけるモンスターかくあるべしの見せ方をしてくるのだ。

しかし肝心の怖さという点においては、山小屋で悪夢を見る一夜のあたりがピークで、
あとは4人の仲間がお約束通り犠牲になるにしても、
逆に見せなさすぎたり、はっきり見えすぎたりして恐怖が足りない。
モンスターの正体については、序盤から「ルーン文字」という伏線が張られているのだが、
ルーン文字を知らなければさっぱりだろう。
こういう若干噛みあいの悪いところはあるが、
「一人の男が勇気を獲得するまでの物語」として考えると
これがすっきり筋が通っている。
主人公の仲間たちに一切の女性が存在しないことからも、
ホラー映画にしては珍しいほど男の物語なのだ。
「遊星よりの物体X」(遊星からの~じゃないよ)みたいな
男くさーいホラー映画としては見ごたえがある。

見終わった後は一種のカタルシスを得て肩をいからせながら歩いてしまう、
そんな佳作であると思う。
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